軒先に吊るされた真っ白な大根…
文字だけで頭の中にパッとイメージが思い浮かぶと思います。
でも最近あまり見かけなくなったと思いませんか?
冬場に大根を吊るすのはもちろんたくあん作りのため。
でも日本の食文化の根っこの部分を支えると言っても過言ではないお漬物の消費量が,年々減少しているそうです。
大根漬けを例に取ってみると,総務省の『「家計調査」1世帯あたりの漬物支出金額等』を見ると,統計を取り始めた昭和55年から平成25年までで,購入金額・数量ともにおよそ半分にまで落ち込んでいます。
原因についてよく言われるのが食生活の変化です。
食品の欧米化や健康志向による塩分摂取の制限などから,若い世代を中心に漬物離れが進んでいるようです。
また流通が発達して,真冬でも新鮮な野菜が簡単に手に入るようになった現代では,保存食としての側面が強いお漬物の消費が減ってしまうのは仕方がないのかもしれません。
でも,お漬物って美味しいですよね。
お茶受けにもいいですが,やっぱり炊きたてのご飯と一緒に頂くとたまりません。
地方ごとに様々な種類があって,日本人の英知の結晶でもあるお漬物。
もっともっと積極的に食べていきたいですよね。
そんなわけで,今日は立山町にある『JAアルプスたてやま』に隣接する,『JAアルプス立山 農産物直売所』にやってきました。
場所は立山町の中心,地鉄五百石駅のすぐ近くになります。
この『JAアルプス立山 農産物直売所』では地元で採れた旬の新鮮な野菜のほか,様々な加工品を販売しています。
その中でも特に人気なのが『かあさん漬け』。
立山の農家のお母さんたちが地元住民の健康を支えるために,手間を惜しまずに一つ一つ手作りで漬けたのが『かあさん漬け』です。
そのかあさん漬けには大事なルールがあります。
一、 さまざまな野菜を栽培し、一年を通して、旬の野菜を届けるべし
二、 栄養素を活かすため、一番良い時期で収穫すべし
三、 旬の内に漬け込むべし
四、 天日塩を使用しつつ、減塩を目指し、野菜の甘みを引き出して、身体に良い酢を用いるべし
五、 化学調味料・保存料、着色料は使用せず、すべて自然由来の材料で漬けるべし
(立山町HPより引用)
どうです?立山のお母さんたちの思いが伝わってきますね。
早速お邪魔しましょう。
地元で採れた野菜を中心に,立山の旬の食材が並んでいます。
JAの直売所ですから,中身もちゃんとしたものが買える気がしますね。
もちろんかあさん漬けも色々並んでいます。
大根漬けはもちろんのこと,みょうがやかぶの甘酢漬け,変わったところではぜんまいの醤油漬けやうどの味噌漬けなんてものもありました。
これが一つ一つ,上の5つのルールをしっかり守って漬けられた漬物たち。
どれもこれも美味しそうに見えますね。
今日はとりあえず一番ベーシックな大根漬けを試してみることにしました。
食べなれているものの方が違いが良く分かりますもんね。
これが大根漬け。
パッケージも可愛らしいですね。
もちろん化学調味料・保存料、着色料は一切使われていません。
これで1パック¥200なのが嬉しいですね。
断面はほんのりとレモン色。
普通に売っているたくあんはウコンやクチナシといった天然の着色料を使って黄色くしていますが,本来は漬けるときの塩と大根の成分が反応して自然に黄色くなるんです。
この色が本来のたくあんの姿なんですね(漬け方によって白くなるたくあんもあります)。
では,頂いてみます。
さっくり,コリコリとした歯ざわりが第一印象。
歯ごたえも味のうち。
たくあんを食べてる,って感じですよね。
味は大根の本来の甘さが程よく残っていて,麹の香りと漬物独特の酸味が口の中にフンワリと広がります。
派手さは無いけれど,しみじみとした美味しさ。
お母さんたちの優しさも一緒に漬け込まれているようです。
お箸がなかなか止まりません。
あっという間に平らげてしまいました。
久しぶりに美味しい漬物を頂いたような気がします。
やっぱりきちんと漬けた,本物のお漬物って美味しいですね。
もっともっと食べていきたいです。
JAアルプス立山の農産物直売所では四季折々の色々な漬物を手にすることが出来ます。
立山のお母さんたちの思いがぎっしり詰まった『かあさん漬け』,ぜひ一度お召し上がりください。