富山で作られている地ビールを紹介する,『富山の地ビール飲み比べ・後編』をお届けします。
前編はこちらの富山の地ビール飲み比べ・前編~宇奈月ビールをご覧ください。

さて,そもそも「地ビール」ってなんでしょうか?

 

地ビール(じビール)は、小規模ビール会社によるビール。日本では緊急経済対策の一環として、1994年(平成6年)4月の酒税法改正により、ビールの最低製造数量基準が2000klから60klに緩和されたことを受けて全国各地に誕生した地域密着・小規模醸造のビール会社による、地方ローカルブランドのビールを指す。(wikipediaより)

 

最近は「クラフトビール」とも言うようになりましたが,どちらも同じものです。
要は法律上最低限仕込まなかればならないビールの数量が大幅に緩和されたため,大手酒造メーカー以外でも,小規模生産出来るようになったわけですね。
法律が改正された1994年当時はビールとは全く関係のない建設・不動産会社などが,観光目的としてのご当地ビールを生産し,お土産用として人気を博しましたが,味わいや品質はまちまちで,段々と人気も下火になりました。
一方,日本の画一的なビールに飽き飽きしてきた人が多いのも事実で,個性的な味わいのビールを求める声が大きくなり,2000年以降再び地ビールへの脚光があつまり,最近ではクラフトビールブームが再び沸き起こっています。
そんな最近のクラフトビールブームについて,一般社団法人日本ビアジャーナリスト協会の代表理事である藤原ヒロユキ氏はこのように述べています。

 

はたして定義は必要なのか?ビールはビールにほかならない。つまり、クラフトビールは規模の問題でも、造られている場所の問題でもないということだ。クラフトビールに必要なことは、造り手(ブルワー)がビールと真摯に向き合っているかどうか?ということでる。「クラフトビールとは、”ビールおたく”と呼ぶにふさわしい、”年がら年中ビールのことで頭がいっぱいな連中”が造りだすビール」なのである。そんなビールおたくなブルワー達が造る「伝統的なスタイルを厳守または踏襲したビール、独自の解釈でスタイルを進化させたビール、ユニークな副原料や醸造法を使った独創的なビール」である。(BREWING JAPANより)

 

そこで今回は,そんな富山のビールおたく,”年がら年中ビールのことで頭がいっぱいな”ブルワーたちのビールをご紹介したいと思います。

まずはこちら。

 

 

㈱オオヤブラッスリーの醸造する,『越中風雅』と『仁右衛門の黒』です。
オオヤブラッスリーは富山県出身の醸造士、大谷崇さんが2008年2月に開業した小規模のブルワリー(ビール醸造所)です。
どれほど小規模かというと,富山市婦中町にある自宅のガレージを改造して,醸造から瓶詰めまで全てたった一人で行っているというから驚きです。
そのオオヤブラッスリーを代表する銘柄がこちらの『越中風雅』です。

 

 

早速頂いてみましょう。

色味はややオレンジがかった黄金色。わずかに甘い香りが漂います。
一口飲むとスッキリとした喉越しと一緒に,甘いフルーティーな香りが鼻孔を通り抜けます。
深みはしっかりとあるんですが,のみ口はどこまでも軽やか。
文字通り風雅,上品で繊細な味わいですね。

続いてこちらも頂いてみます。

 

 

『仁右衛門の黒』
こちらはその名の通り,黒ビールです。
地元富山市古沢産の二条大麦をローストさせて醸造させてこのビールは,独特の香ばしさを放つ,深みのある味わいです。
しかし飲みにくというようなことは一切なく,喉越しはあくまでも爽やか。
越中風雅とも共通するこのさわやかな喉越しは,ブルワー大谷さんのこだわりなのかもしれません。
それにしても,これだけの味わいのビールをたった一人で醸造しているというのは本当にビックリです。
大谷さんは元々県内の醸造所から独立して今のブルワリーを立ち上げたそうですが,そのこだわりとビールづくりにかける情熱はこの2本のビールを頂いただけで伝わってきます。

越中風雅330ml 432円,仁右衛門の黒330ml ¥399。
他にも富山県産柿のハチミツをつかった『ハニームーン』や冬季限定のショコラビール,『ショコラ ノワール』など,どれもこだわり抜いたビールを醸造しておられますが,少量生産のためどこでも買えるというわけにはいきません。お求めは県内の酒店,もしくはオオヤブラッスリーの公式ブログをご覧ください。

 

もう一つご紹介したいのがこちら。

 

 

当HP的にはある意味,こちらが本命と言えるかもしれません。
『立山エール』です。
とは言っても,立山町で作られているビールではなく(残念!),滑川市にある北陸発酵工業株式会社さんの商品です。
北陸発酵工業さんは元々焼酎などを中心に生産している醸造所ですが,平成9年に富山県内では初めて発泡酒の製造免許を取得し,ビールの製造も行っています。
ラベルには発泡酒とありますが,これは大麦を使用しているための税法上の区分で,実際には麦芽エキストラクト(麦芽を糖化してシロップ状にしたものとバーレイシロップ(大麦を麦芽で糖化してシロップ状にしたもの)を使用した麦100%のビールとなっています。
この立山エールの最大の特徴は,ラベルを見てみると分かります。

 

 

「酵母入り生(非加熱処理)」
とあるのが分かりますか?
そう,立山エールは炭酸ガスを加えない無ろ過の瓶内醗酵熟成というとても珍しい方法で醸造されているんです。
ろ過せずミネラル豊富な酵母が生きたままの状態なので、風味が続き賞味期限が長いのも特長です。
仕込日や出荷日の日付が手書きなのも手作り感が溢れていて良いですね。
グラスに注ぐと,確かに若干濁っています。そしてガス圧が高めのため,いつまでも泡が消えません。
気になるお味は,見た目と裏腹にあまり苦味はありません。
かわりに酵母が生きているせいか,洋梨を思わせるような爽やかな香りとほのかな甘味が口の中に広がります。
同時にしっかりとしたコクもあり,グイッと飲み干すというよりも,ゆっくりしみじみと頂きたいビールですね。
立山エール ぺイルラガーは500ml 594円。
県内の酒店ほか,北陸発酵工業のHPからお取り寄せも可能です。

 

いかがでしたか?
前・後編と2回にわたってお届けした,富山の地ビールたち。
最近はあちこちで地ビール,クラフトビールの人気が高まっていますが,ここ富山にもどこに出しても引けをとらない,個性あふれる,そして何よりも美味しい地ビールが揃っています。
この時期,お花見のおともに富山の地ビールを抱えて,なんてとてもおしゃれだと思います。
とりあえず最初の一杯のビールも良いですが,たまにはこんな地ビールをゆっくりと,じっくり味わいながら頂くのはどうですか?