今大ヒット中の映画「君の名は。」の中で,「たそがれ時」について語られるシーンがあります。
古典の授業の中で,たそがれの意味と由来について女性教師が生徒たちに説明するわけです。
(実はこの場面は前作「言の葉の庭」にもつながる重要なシーンなんですが,それはまた別の話)
劇中でも語られていますが,「たそがれ」はもともと「たそかれ」と言われていて,万葉集でも
“誰そ彼(たそかれ)と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ”
と詠われています。
“誰だあれはと 私のことを聞かないでください
九月の露に濡れながら 愛しい人を待っている私を”
という意味だそうです。
薄明の時刻,顔がはっきりと見えないので「誰そ彼」つまり「あなたは誰ですか?」と問いかけているわけですね。
それが時刻を表す「たそがれ時」となったわけです。
全く同じ意味の言葉で
「かわたれ時(彼は誰時)」というのもあります。
誰だあれは?をひっくり返して,彼は誰?になっただけですね。
ただ,このかわたれ時ってほとんど聞いたことないなぁ,と思っていたらそれもそのはず,元々同じ意味だったこの言葉がいつの間にか
たそがれ時=夕方
かわたれ時=夜明け前
という風に区別して使われるそうになったそうです。
そりゃ聞いたことないのも当然ですよね。夜明け前なんてみんな寝てますから。
彼は誰?どころか,自分が誰かも分からない状態なわけで。
でも,写真はそのかわたれ時の立山連峰。
今朝の5時頃の写真です。
ちょうど山脈の向こう側から太陽が登ってくるため,シルエットになった立山連峰がクッキリと浮かびあがります。
誰だあれは?と聞く必要もないその存在感。
早起きしてでも見る価値ありありです。
でも,実はそもそも立山っていう山はないっていうこと知ってましたか?
定義としては色々あるそうですが,雄山や剣岳などの様々な峰を総称して立山,もしくは立山連峰と呼ばれています。
では写真の中の山々,それぞれ何の山かわかりますか?
生粋の富山人であれば見分けられるということですが…
山の名は。
立山を極める道のりはまだまだ険しそうです。