富山に住んでいると,北陸特有の文化や風習・気候などにビックリすることがままあります。
大抵そうしたものは地元の人にとっては当たり前すぎて取り立てて騒ぎ立てるものではなく,移住者や旅行者のみが面食らうわけです。
で,その一つが今回のテーマ。
『冬の稲妻』です。
(画像はイメージ)
これねー,最初ビックリしました,正直。
冬に雷ですよ?
雷って夏のものですよね?
なんてったって,夏の季語になってるくらいですから。雷。
それが富山・北陸だと冬のものになります。季節逆転。
これは雷がおきるメカニズムの違いによるものです。
太平洋側で起きる雷は,日中,夏の暑い日差しによって暖められた空気が上昇気流となって上昇し,大きな雲,積乱雲を作り出します。
その雲の中で生じる対流によって静電気が発生し,その静電気がある程度まとまると雷として地上に突き刺さります(本当はもっと細かい話になるのですが,ザッと言うとこんな感じ)。なので,夏の雷は暑い夏の午後や夕方,夕立などともにやってくるわけです。
一方,富山でおきる冬の雷はどうなっているかというと。
11月から12月にかけて,大陸から冷たい寒気が北陸地方にやってきます。
日本海の対馬暖流は温かい暖流のため,暖められた寒気は上昇します。ついでに,日本海の水分も吸い上げるため,雲が発生します。
その暖流と寒気のまた吸い上げられた水分が対流した結果静電気が生じ,それが雷となるわけです。
夏の雷と違って太陽の熱は関係ありませんから,朝でも,昼でも,夜でも雷が発生する可能性があります。神出鬼没。
その冬の雷が昨日の夜から今朝にかけて富山にやってきました。
すごかったですよ,朝からドーン!と。大砲かと思いました。
富山では,その雷のことを「雪おこし」と呼びます。
寒気が引き起こす雷ですから,寒さも同時にやってくるわけですね。
その通りに,今日は立山では雪が降りました。
気温も昨日と比べてグッと下がりました。
冬の雷は他にも別名があり,「鰤おこし」とも言われます。
この雷と前後して,富山湾にブリがやってくるわけです。
そう,寒ブリです!
昨年は富山ではそのブリが大不漁で,氷見のブランド,「寒ブリ宣言」は出されずじまいでした。
今年はこれまでブリの出荷もまずまずのようで,寒ブリ宣言も11月にすでに出されています。
この鰤おこしをきっかけに,更に豊漁になると良いですね!